研究課題

美術科授業研究

美術科学習における言語的・身体的活動を通した思考の促進(17K04781)

平成 28 年8月,中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会から「次期学習指導要領等に向けたこれまでの審議のまとめ」が示されました。この報告では本研究が意図する「主体的な美術科学習の実現」に関連して,「『主体的・対話的で深い学び』,すなわち『アクティブ・ラーニング』の視点からの学びをいかに実現するかである」と述べられています。これは美術科学習に対しても,単に作品が完成することのみを目指した表現活動や,知識を覚えることのみが目的となった鑑賞活動に陥ることを危惧し,「どのようにして美術を学ぶか」という学びの質を問う指摘だといえます。 本研究では,表層的な対話活動の導入によるアクティブ・ラーニングの形式的なスタイルを目指すのではなく,図画工作科・美術科・芸術科(美術・工芸)学習において育むべき資質・能力に応じた学びの方法を開発するため,言語的・身体的活動の有効性に着目したいと考えています。


保育における造形活動と幼児の「見せる発話」

幼稚園・保育所等での造形活動を観察していると,「みてみてー」「じゃーん」「ほら,○○できた」等の発話とともに,幼児が嬉しそうな笑顔で自身の表現を友だちや保育者等の他者に向けて見せる場面をよく見受けます。本研究課題では,そのような発話を「見せる発話」と位置付け,「見せる発話」に関する分析を行うことによって造形活動に起因した幼児の心情や要求を把握することにつながるのではないか,というリサーチ・クエスチョンに至りました。現在,保育実践を通した観察調査を進め,「見せる発話」の機能を視点とした分類・比較と,その発生機序に関する検討を行っています。

明治期毛筆画教育研究

江戸末期から明治期にかけて京都に在住した絵師(日本画家)たちにとって,明治維新以降の生活様式の変化や文化の西欧化が進行したこと,そして東京奠都という社会構造の変革から受けた影響は甚大なものであったと考えられます。このような状況下で,東京に移らず京都に残った画壇関係者らによって,日本画の振興を目指した京都府画学校設立の建議が行われるなど,地域社会との接点を意識した取組が試みられました。そして,多くの京都画壇関係者らが,普通教育(小学校,中学校,女学校,等)における指導に使用するための毛筆画教科書の作成にも関与しています。京都という地域的な特性のもとづいた毛筆画教科書の作成状況については,これまで詳細な研究が見られませんでした。


京都画壇関係者による毛筆画教科書とは

このような背景をもとにして本研究課題では,京都画壇関係者が毛筆画教育に関連して行った活動を「明治期における芸術発信」としてとらえ,毛筆画教科書および一般向け絵手本類の作成,学校への出講や語られた言説等に関する史料群を再構成し,アーティスト(日本画家)による自律的な表象文化の動向として意義構築を行うことを目的としています。

現在,本研究室では明治期における女学校等においてどのような毛筆画教育が展開されたのか,そこに京都画壇関係者がどのように関与したのかについての解明を進めています。今後は,毛筆画教科書に掲載された図像についての調査を行い,日本画家らの画業と教育活動との間にどのような相関が見られるのかについて明らかにしたいと考えています。


    ※ 本研究課題に対して,これまでに下記の財団より研究助成を受けました。
      公益財団法人 稲盛財団,公益財団法人 中央教育研究所,公益財団法人 DNP文化振興財団

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